Prerequisite
この節ではリング内に 個の質点がバネでつながれている状況を考える.
このとき質点の変位は
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/001x_jn__x_j_.png?w=134)
という周期性を持つ.
これを周期的境界条件 (periodic boundary condition) という.
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/vib_ring01.jpeg?w=532)
リングに束縛されていることは忘れて質点1つ1つは1次元の直線上を運動しているとみなそう.
箱に束縛されているときと異なるのは端の質点 も他と全く同じ運動方程式に従うことであり,全ての
に対して,
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/002m_ddot_x_k__kx_.png?w=364)
を満たす.
ただし .
行列表記では
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/003ddot_bs_x__-_om.png?w=170)
ここで ,
であり,
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/004a__2-10_cdot.png?w=400)
を対角化する正則行列をみつければ
個の方程式を独立に解くことができる.
実対称行列は直交行列で対角化が可能だがここでは少し違う方法で対角化する.
まず行列 を次のように分解する:
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/005a__2i_n_-_b_-_b.png?w=248)
ここで
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/006b__0__1__0__.png?w=722)
行列 を対角化する正則行列
が見つかって
とする.
このとき となって
も同時に対角化される.
したがって
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/007p5e-1_ap__func_d.png?w=602)
として も対角化される.
では の固有値を求めよう.
固有方程式 は余因子展開からすぐに
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/008lambda5en__1.png?w=92)
と等価とわかる.
よって は
の冪根であり,
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/009lambda__e5ei_fra.png?w=464)
となって の固有値が得られた.
の固有値は
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/010_2-_lambda_n-_lam.png?w=580)
である.
固有値は正弦函数の対称性から と
一致しており,縮退している.
次に固有ベクトルを求めよう. に属する固有ベクトルを
として連立方程式
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/011-_lambda_n__1_.png?w=530)
を解く.
各成分で計算すると,
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/012lambda_nu_k5en_.png?w=390)
とおくと
となる.
の条件から
を定めることができて,
.
よって
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/013u5en_k__frac_1.png?w=404)
として固有ベクトルが求まった.
2つの固有ベクトルの内積は ならば
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/014bs_u_n_cdot_bs_u.png?w=614)
となり直交関係 を満たす.
したがって正則行列を でつくると行列
を対角化できることもわかる.
の
成分は
であり,
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/015p__frac_1_sqrt_.png?w=486)
直交関係から の逆行列は
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/016p5e-1__frac_1_sq.png?w=512)
よって はユニタリ行列である.
を定義して運動方程式は
個の独立な方程式
に還元される.
ここで
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/017omega_n__2_sqrt.png?w=280)
一般解は で与えられる.
は初期条件から与えられる定数でいま
は複素数.
元の座標に戻すには を計算する必要がある.
ここまでの結果を代入すれば
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/018x_k__sum_n15enc.png?w=426)
が得られる( ).
よって一般解は各基準モードの線型結合で表される.
また周期的境界条件も満たしている.
ただし は明らかに実数なので
![](https://storytellphys.wordpress.com/wp-content/uploads/2020/11/019x_k__sum_n15en_.png?w=496)
と書いてもよい.