定常Schrödinger方程式

Introduction

この章では時間に依存しないSchrödinger方程式を扱う.
座標表示をとることで「波動方程式」とよばれるタイプの線型微分方程式に還元し問題を解く.
特に一次元ではさまざまなポテンシャルに対して厳密に解くことができる.
ここでは中でも応用上重要なものに焦点を当てていく.

定常Schrödinger方程式の性質一次元束縛状態の性質では時間依存しないSchrödinger方程式の一般的な性質について議論する[1,2].
これらは計算の道具として後の節で頻繁に用いる.

井戸型ポテンシャル有限深さの井戸型ポテンシャルでは最も計算が容易な井戸型ポテンシャルにおける束縛状態の厳密解を見る[2,3].
エネルギーが量子化されることが簡単にわかる良い例でもある.

透過率と反射率トンネル効果二重井戸型ポテンシャルでは古典描像とは相容れない「波動函数の透過性」について見ていく[1,2].

デルタ函数型ポテンシャルではここまでのポテンシャルとはかなり趣の異なった系を考える[1].
この系では波動函数に対して特別な接続条件が必要になる.
ここでの考え方は一般相対性理論でも有用である.

周期的境界条件では物性系において重要な周期的境界条件のもとでの波動方程式について議論する[1,3].

Reference

定常Schrödinger方程式の性質や解法については

[1] 猪木慶次,川合光,『量子力学I』,(講談社,1994).>>> Amazon

が非常に詳しく,演習問題も豊富である.
また

[2] L. D. Landau and E. M. Lifshitz, “Quantum Mechanics Non-Relativistic Theory, Third Edition”, (Butterworth-Heinemann, 1977).>>> Amazon

も参考になるだろう.

他に以下を参考にした

[3] 北野正雄,『量子力学の基礎』,(共立出版,2010).>>> Amazon