剛体の力学

Introduction

この章では3次元空間における剛体の運動について議論する.
剛体は身近な物体の運動に近く,直感的にも理解しやすい部分がある.
また建築物,自動車,航空機,ロボットなど工学的にも重要である.

非慣性系の運動方程式ではまず非慣性系における物理学を一般的に扱う.
地球のCoriolis力では非慣性系の例として自転する地球をとりあげる[2].

剛体の運動方程式では剛体の運動を記述するための基礎方程式をNewton方程式から導く.

慣性モーメントの計算任意の点の周りの回転運動では剛体の運動方程式を解くための事前準備的な計算を紹介する[2].

剛体の力学的平衡剛体振り子では剛体の運動の中でも質点とのアナロジーから比較的容易に計算できるものを議論する[1,2].

慣性主軸Euler角では剛体の運動方程式を一般的に解くための道具立てを行う[2,3].

剛体の自由運動円柱の運動撃力を受けた剛体の運動対称コマの運動では前述の道具を駆使して,具体的に方程式を解いていく[1,2,3].

ジャイロスコープでは対称コマの運動の応用について概説する[2,4,5].
ジャイロスコープは航空機や船舶,ロボットの制御などで重要な役割をする[6].

剛体のNewton重力理論では剛体に働く重力場について力学の範囲で計算する[2].
電磁気学の章においても同様の計算を行う.
一般相対性理論の章でこの重力理論は修正される.

潮汐力では地球ともう一つ別の天体のNewton重力による海水面の変形を計算する[2,4].
地球上ではこれは潮の満ち引きとして観測される.

Reference

剛体に関してよくまとまっているものは

[1] L. D. ランダウ, E. M. リフシッツ,『力学』,(東京図書, 1986).>>> Amazon
[2] V. D. バージャー,M. G. オルソン,『力学―新しい視点にたって』,(培風館,1992)>>> Amazon

がある.特に[2]は実例が豊富で興味深い.
またやや数学的に高度だが剛体をコンパクトに扱ったものとして

[3] 山本義隆,中村孔一,『解析力学1 (朝倉物理学大系)』,(朝倉書店,1998)>>> Amazon

がある.
他に以下を参考にした:

[4] 江沢洋, 中村孔一, 山本義隆,『演習詳解 力学 [第2版]』(筑摩書房, 2022)>>> Amazon
[5] ゴールドスタイン, ポール, サーフコ,『古典力学(上)』,(吉岡書店,2006)>>> Amazon
[6] 多摩川精機株式会社,『ジャイロセンサ技術 (ポイント解説)』,(東京電機大学出版局,2011)>>> Amazon