スカラー場の量子論

Introduction

この章ではスカラー場の相互作用理論について扱っていく．

相互作用のある場の量子論ではこの章の概要について述べていく[1,2]．
相互作用がある場合の計算は非常に長く複雑なため最初にこのような節を設けた．

相互作用理論のスペクトル条件では相互作用理論に対しいくつかの物理的に意味のある仮定を追加する[1,3,4]．

場の量子論のS行列では実験で観測可能な物理量と場の量子論を接続する[1,2,3,4]．
LSZ簡約公式ではS行列をより計算が簡単な場の真空期待値に変換する公式を導く[1,3]．
LSZ簡約公式は場の量子論における基本公式となる．

経路積分; 零点函数，経路積分; Feynman境界条件，経路積分; 時間順序積の生成汎函数では期待値の経路積分表示を行う[1,3,5]．
Bjorken–Johnson–Low処方については[5]を参照せよ．
経路積分; 自由場のWickの定理では自由場の理論で経路積分を実際に計算する[1,2]．
これは後で摂動論で使われる．

実スカラー場の摂動論では自由場の理論に基づいて経路積分表示の摂動展開を行う[1,2,3]．

Feynmanダイアグラム; 座標表示，Feynmanダイアグラム; 運動量表示では摂動展開を図式化し議論の見通しをよくする[1,2,3]．
対称因子については[6,7]を参照した．
Feynmanダイアグラム; LSZ簡約公式ではLSZ簡約公式に対して摂動展開の式を代入してダイアグラム的に再解釈する[1,2]．

Reference

相互作用のあるスカラー場の量子論について丁寧に解説しているものとして

[1] M. Srednicki, “Quantum Field Theory”, (Cambridge University Press, 2007). >>> Amazon
[2] M.E. Peskin and D.V. Schroeder, “An Introduction To Quantum Field Theory” (Westview Press, 1995). >>> Amazon

他に以下を参考にした

[3] 久後汰一郎，『ゲージ場の量子論 I』, (培風館, 1989). >>> Amazon
[4] 坂本眞人, 『場の量子論(II)-ファインマン・グラフとくりこみを中心にして』, (裳華房, 2020). >>> Amazon
[5] 藤川和男, 『現代物理学叢書　ゲージ場の理論』, (岩波書店, 2017). >>> Amazon
[6] P.V. Dong, L.T. Hue, H.T. Hung, H.N. Long, and N.H. Thao, “Symmetry Factors of Feynman Diagrams for Scalar Fields“, (arXiv:0907.0859 [hep-ph])
[7] C.D. Palmer, M.E. Carrington, “A General Expression for Symmetry Factors of Feynman Diagrams“, (arXiv:hep-th/0108088v1)