電磁気学の基礎

Introduction

この章では電磁気学の導入をする.
いわゆる電磁気学には大きく2種類あり,荷電粒子を対象としたミクロな基礎論としての電磁気学と電気回路や半導体,磁性体といったマクロな物性論としての電磁気学である.
この章で扱うのは前者の基礎論のみである.
後者については熱力学統計力学の章でおいおい議論する.

静電場電束密度では時間依存しない電場に関する法則を紹介する.
また場の基本的な概念を復習する.
静電場の計算で具体的な計算例を紹介する[1,3].

電気双極子では静電場の例として電気双極子のつくる静電場を求める[1].

電荷保存則では一般の場についても重要な連続の式を導く.

静磁場磁場の強さでは時間依存しない磁場に関する法則を紹介する.
単磁極についても軽く触れる.

磁気モーメントでは静磁場の例として円形電流の作る静磁場を求める[1,3].
磁気モーメントは電気双極子モーメントと異なり素粒子の基本的な物理量であるため現代物理において重要な役割をする.

電磁誘導電磁場の運動方程式では時間依存する電磁場を扱い,電磁場を決定する方程式を紹介する[4,5,6].

荷電粒子の運動方程式では電磁場中の荷電粒子の運動について議論する.
また簡単な場合について運動方程式を解く.

電磁場のエネルギー電磁場の運動量では電磁場に対しても質点と同じようにエネルギーや運動量が定義され,それらが保存則を満たすことを見る.

電磁場と相対性原理では電磁気学が特殊相対性理論の枠組みの中で無矛盾な理論であることを見る[2,4,5,6].

荷電粒子の解析力学では電磁場中の荷電粒子のLagrangianを与える.
電磁場の運動方程式を含めた議論はあとの場の解析力学の章で論じる.

Reference

標準的な電磁気学の入門書としては
[1] 砂川重信,『電磁気学 (物理テキストシリーズ 4)』,(岩波書店,1987).>>> Amazon
この本では特殊相対性理論や解析力学には触れられていない.
これを補うものとして同著者の
[2] 砂川重信,『理論電磁気学』,(紀伊國屋書店,1999).>>> Amazon
がある.

電磁気学の基礎をある程度理解した上で読める教科書として
[3] 太田浩一,『電磁気学の基礎I』,(東京大学出版会,2012).>>> Amazon
[4] 太田浩一,『電磁気学の基礎II』,(東京大学出版会,2012).>>> Amazon
[5] F. Melia, “Electrodynamics”, (University of Chicago Press, 2001). >>> Amazon
がある.
[3], [4]は様々な話題が載っており読み物としても面白い.

電磁誘導については
[6] 中山正敏,『電磁誘導 (物理学One Point (26)) 』,(共立出版,1984).>>> Amazon
を参考にした.