相転移

この章では統計力学の手法を用いて相転移現象,とりわけ二次転移における臨界現象を議論する.
統計力学的手法が最も成功しているモデルとして有名なのがIsngモデルであり,本章でもこのモデルを軸に議論していく.

相関ではまず相転移を統計力学的に記述するために重要な相関を導入する[1,4,10].

Isingモデルでは強磁性転移を記述するIsingモデルの設定や概要とその広がりについて述べる[1,2].

Isingモデルの平均場理論では最もシンプルで強力なIsingモデルの近似的な解法を紹介する[1,2].

一次元Isingモデルの厳密解では転送行列を用いて一次元のIsingモデルを厳密に解く[1].

二次元Isingモデルの厳密解; 高温展開二次元Isingモデルの厳密解; ループ展開二次元Isingモデルの厳密解; ランダムウォーク, 二次元Isingモデルの厳密解; 臨界現象では二次元格子上のIsingモデルの厳密解の導出[4,6,7,8,9]とその臨界現象について議論する[1,3,4,5].
ここではランダムウォークの遷移確率の計算に帰着させるVdovichenkoの解法を紹介する.
ただし外場が印加されている場合については省略する.

Isingモデルやその変種について豊富な解説がある教科書として
[1] 西森 秀稔,『相転移・臨界現象の統計物理学 (新物理学シリーズ) 』, (培風館, 2005). >>> Amazon

がある.
相転移現象について数学的には簡潔にだが,深い考察がなされている.

他に以下を参考にした:

[2] U. C. Täuber, “Critical Dynamics: A Field Theory Approach to Equilibrium and Non-Equilibrium Scaling Behavior”, (Cambridge University Press, 2014). >>> Amazon
[3] 田崎晴明, 『統計力学II (新物理学シリーズ) 』, (培風館, 2008). >>> Amazon
[4] L. D. Landau and E. M. Lifshitz, “Statistical Physics 3rd Edition”, (Butterworth-Heinemann, 1980). >>> Amazon
[5] 戸田盛和,斎藤信彦,久保亮五,橋爪夏樹,『現代物理学の基礎 5 統計物理学』, (岩波書店, 2016). >>> Amazon
[6] R. P. ファインマン, 『ファインマン統計力学』, (丸善出版, 2012). >>> Amazon
[7] 小口武彦, 『磁性体の統計理論 (物理学選書 (12))』, (裳華房, 1970). >>> Amazon
[8] N. V. Vdovichenko, “A calculation of the partition function for a plane dipole lattice“, Soviet Physics JETP 20. (1965), no. 2, 477-479.
[9] 高橋 和孝, 西森 秀稔, 『相転移・臨界現象とくりこみ群』, (丸善出版, 2017). >>> Amazon
[10] A. Lawrence, “Probability in Physics – An Introductory Guide”, (Springer, 2019). >>> Amazon