Introduction
この章ではLagrange形式の解析力学を紹介する.
Lagrange形式ではLagrangianと呼ばれるスカラー函数が運動方程式よりも基本となる.
このように系の情報を1つのスカラー函数から引き出す手法は現代の物理学においても重要である.
一般化座標ではまずLagrange形式の準備としてNewton方程式を抽象的に扱うための座標変換を考える[3].
最小作用の原理,相対性原理ではLagrange形式の指導原理について述べる.
Lagrangianの具体形では具体的なEuler–Lagrange方程式を導きNewton力学と等価なことを見る[2].
空間並進対称性と運動量保存則,時間並進対称性とエネルギー保存則,作用の変分,Noetherの定理,空間回転対称性と角運動量保存則では系の対称性と保存則が密接な関係にあることを確かめ,それがNoetherの定理にまとめられることを見る[1,2,3,4].
非慣性系の解析力学,剛体の解析力学ではさらにLagragianの例を紹介する[2].
Fermatの原理,汎函数微分と運動方程式,最速降下曲線,懸垂曲線では変分原理について一般論と具体例を紹介する.
回転群では回転変換について一般的に述べる.
連続群の考え方は物理学を抽象的に扱う際に足がかりとなる.
Reference
解析力学のよい入門書としては
[1] 畑 浩之,『基幹講座 物理学 解析力学 (基幹講座物理学)』,(東京図書,2014)>>> Amazon
がある.筆者は本書を直接参考にしていないが元になっている授業ノートが大いに役立っている.
少し古い観があるが
[2] L. D. ランダウ, E. M. リフシッツ, 『力学』, (東京図書, 1986). >>> Amazon
は簡潔明快で良書と言える.
[3] 山本義隆,中村孔一,『解析力学1 (朝倉物理学大系)』,(朝倉書店,1998)>>> Amazon
は高度な数学を用いるが曖昧な部分が少なく具体例も豊富なので2冊目以降に推される.
拘束のある系や慎重な変分計算については
[4] 菅野 礼司,『ゲージ理論の解析力学』,(吉岡書店,2007)>>> Amazon
が詳しい.