中心力場

Introduction

この章では3次元空間において原点からの距離にのみ依存するポテンシャルのもとでの質点の運動について議論する.
Newton重力や静電気力,分子間力,核力など中心力は自然界にありふれている.
静電気力については電磁気学の章で触れることにしてこの章ではNewton重力に触れる.

中心力場の解法中心力場と極座標では中心力場があるときの運動方程式について論じる.
特に角運動量の概念を導入する.

極座標では中心力場のような球対称性がある場合に便利な極座標を導入する.
2次元の平面極座標,3次元の円筒座標と球面極座標を紹介する.

Coulombポテンシャルの節では中心力場の最も重要な例であるCoulombポテンシャルの場合の解を考察する[1].
またKeplerの法則の節ではCoulombポテンシャルの結果をNewton重力に適用して,いくつかの性質を紹介する[1, 2].

Newton重力と場では場の基本的な概念を導入する.
場の理論について詳しくは電磁気学の章で改めて議論する.

Laplace–Runge–LenzベクトルではCoulombポテンシャルのみ存在する特殊な保存量を紹介する[2].

体積積分では3次元空間内の部分空間にわたる積分を論じる[3].
曲面上の積分では3次元空間内に存在する2次元曲面の上にわたる積分を論じる[3, 4].
これは3次元空間内の1次元曲線上の積分,すなわち線積分の拡張になっている.
立体角では3次元における角度を紹介する[4].

散乱理論散乱問題; 剛体球ポテンシャル散乱問題; Coulombポテンシャルにおいては粒子の中心力場による散乱を扱う[1, 2].
散乱問題は素粒子物理学において重要な実験手法である.

Reference

中心力場,散乱理論についてよくまとまっているものは

[1] L. D. ランダウ, E. M. リフシッツ,『力学』,(東京図書, 1986)>>> Amazon
[2] V. D. バージャー,M. G. オルソン,『力学―新しい視点にたって』,(培風館,1992)>>> Amazon

がある.
極座標,体積積分,曲面積分,立体角などの数学については

[3] 杉浦光夫,『解析入門 Ⅱ』,(東京大学出版会,1985).>>> Amazon
[4] 武藤義夫,『ベクトル解析』,(裳華房,2011).>>> Amazon

を参照せよ.