場の解析力学

Introduction

この章では電磁場をはじめとした場の運動方程式を解析力学の手法で再導出する.
また質点の力学で得られたさまざまな有用な公式を場の場合に成立することをみていく.
場の解析力学は場の量子論へ移行する際の手掛かりになる.
ただしこの章では特殊相対性理論を前提としている.

有限自由度系の連続極限では場のLagrangianがどのような形であるかを質点系の連続極限を取ることで構成的に議論する.

場のLagrange形式場の対称性と保存則では質点のLagrange形式にならって一般の場のLagrangianについて同様の議論を展開していく[1,2,3,4].

電磁場の作用では作用では物質がないときのMaxwell方程式を導くLagrangianについて議論する[1].
電磁気学の作用では電磁場の作用に質点の作用が加わった作用について考察する.

電磁気学の対称性と保存則では電磁場と質点が共存する系でのNoetherの定理を議論する[1].
しかし質点と場が同等の物理量ではないために計算が煩雑になっている.
急ぐ読者は結果だけ認めて次へ進んでも問題ない.

場の正準形式では場のHamiltonianについてやはり質点と同様の議論ができることを見ていく[2].

複素スカラー場Proca場では電磁場以外の場の例を取り上げる[3,4].
いずれも場の量子論においては重要な役割をする場である.

Reference

古典場の解析力学(主にLagrange形式)についての入門としては

[1] L. D. ランダウ, E. M. リフシッツ, 『場の古典論』, (東京図書, 1978). >>> Amazon

がある.
正準形式については

[2] 菅野 礼司,『ゲージ理論の解析力学』,(吉岡書店,2007). >>> Amazon

に簡潔にまとめられている.

また多くの場の量子論の入門書には古典場の解析力学について述べられている.
ここでは以下を参考にした

[3] M. Srednicki, “Quantum Field Theory”, (Cambridge University Press, 2007). >>> Amazon
[4] M. E. Peskin and D. V. Schroeder, “An Introduction To Quantum Field Theory” (Westview Press, 1995) >>> Amazon