Fourier変換の計算

Prerequisite

この節ではFourier変換の具体的な計算を実行していこう.
実数上で定義された絶対可積分な函数 f  のFourier変換は

であり,Fourier逆変換は

で与えられる.

[Gauss函数]
GaussianのFourier変換.グラフはそれぞれ \sigma=1/2,\,1,\,2  \mathcal{G}  のピークは広がるが \widetilde{\mathcal{G}}  の方は狭まっていく.

前節ですでに計算したが,Gaussian

のFourier変換は物理学において非常に重要であるからここにもう一度書き下しておこう.
簡単なGauss積分によってFourier変換は

となり,Fourier変換後もGaussianの形をしている.
Gaussianのパラメータ \sigma  はピークの幅を表していた.
もともと \mathcal{G}  のピーク幅がだいたい 2\sigma  だが,変換後 \mathcal{G}  のピーク幅は 1/2\sigma  になる.

[デルタ函数]

本稿では詳細に立ち入らないがFourier変換はデルタ函数のような超函数にも拡張可能である.
デルタ函数の性質からただちに

がわかる.
これをデルタ函数のFourier変換とするとFourier逆変換は

で与えることができる.
もちろん f\equiv1  は実数上で絶対可積分でも自乗可積分でもないから,超函数に対するFourier変換の定義が必要なことがわかる.

[Lorentz函数]
LorentzianのFourier変換.グラフはそれぞれ a=1/2,\,1,\,2  f  のピークは広がるが \widetilde{f}  は狭まっていく.

次で定義されるLorentzianを考える:

この函数のFourier変換は

この積分を実行するために複素積分

を考える.
k>0  のときJordanの補助定理から,積分経路 \gamma  として下半面で閉じる半円の経路に選べば無限遠での寄与を無視できる.
つまり I=\widetilde{f}(k)  である.
一方で経路内部に極 z=-ia  が存在するので留数定理から,経路が時計回りであることに注意して

と求まる.
同様にして k<0  のときは上半面で閉じれば I=\widetilde{f}(k)  である.
今度は経路内部に極 z=+ia  が存在するので留数定理から,

k=0  のときは初等的な積分計算から \widetilde{f}(0)=1
以上の結果をまとめると

Fourier逆変換を計算していくと

となり確かに元の函数に戻る.
Lorentzian f  の半値幅は 2a  でありピークの幅を特徴づける.
一方で \widetilde{f}  の方の半値幅は 2\ln2/a  となっている.

[矩形函数]
矩形函数のFourier変換.Fourier変換後のグラフはそれぞれ a=1/2,\,1,\,2  でありピークは狭まっていく.

次で定義される矩形函数を考える:

この函数のFourier変換は

すなわち矩形函数のFourier変換はsinc函数

で与えられる.

[三角形函数]
三角形函数のFourier変換.グラフはそれぞれ a=1/2,\,1,\,2  f  の三角形は広がるが \widetilde{f}  のピークは狭まっていく.

次で定義される三角形函数を考える:

この函数のFourier変換は部分積分により

すなわち三角形函数のFourier変換はsinc函数の二乗

で与えられる.
矩形函数のFourier変換 \widetilde{R}(k)  とは \widetilde{\mathcal{T}}(k)=\widetilde{\mathcal{R}}(k)^2  が成り立っている.
それゆえ畳み込みの定理から

が成立していることがわかる.

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